インサイドセールスという言葉は最近ではよく耳にする言葉ですが、歴史を振り返ってみると1990年代にアメリカで生まれた営業手法です。国土の広いアメリカで、都度お客様に訪問し契約を締結するのは非効率だったため、インサイドセールスという手法が始まりました。
私が以前所属していたデルはまさにこのインサイドセールスの先駆け的な企業であり、電話でパソコンが売れるのか。。とびっくりしたのを思い出します。
ただインサイドセールスが契約を締結する。というのは単に営業を電話に変えただけでは不可能です。
なぜデルがインサイドセールスで成功し、売り上げを大きく伸ばしたのでしょうか?
1. マーケティングが強い
デルで一番力を持っているのは営業ではなく、マーケティングでした。マーケティングが需要を開拓(デマンドジェネレーション)しお客様からのお問合せ(インバウンドコール)を創出します。このデマンドジェネレーションの数字をもとに、営業の予算が決まります。
マーケティング部門は毎週どのくらいのインバウンドが来るのか?各種広告宣伝活動から数字を試算し、それに伴って毎週の営業のターゲットも変わります。
2. お客様にも共通の製品理解がある。
PCに関してはお客様もある程度知識を持っています。一方ストレージ製品やネットワーク製品、業務アプリケーションに関しては電話で提案する事が難しく、受注には不向きです。
3. カスタマイズが容易
CPU・メモリ・HDDなどカスタマイズが容易にできるので、お客様のニーズに合った製品を提供する事が可能
4. 低価格
競合他社に比べて同じスペックでも2~3割安く提供しており、ある程度知識のある方(情報システム部門)にとってコストメリットの高い製品です。
5. 在庫回転率・受注生産
PCはテクノロジーの進歩が非常に早く、各種パーツの価格が下がり続けます。完成品を量販店などに置いている場合は、あっという間に陳腐化してしまい価格を下げなければなりません。しかしデルは受注生産をしていたので、在庫が無いため最新の製品を低価格で届ける事が可能でした。
6. 発注プロセスが簡単
対面営業の場合はお客様先に訪問し、契約書に捺印or署名をしていただく必要があります。
しかし当時のデルはお客様にFAXでお送りした見積書を手書きで「注文書」に書き換え社印・角印を押してFAXで返信。という斬新な手法です。
今となってはオンラインでオーダーできますが、1990年代はこの手法が一般的でした
というようにインサイドセールスが受注まで対応する。というのはマーケティング・製品・サービス・価格が伴わないと難しいと言えます。当時のデルはすべて整っていたので、インサイドセールスが成功したと考えます。
次回はTHE MODEL で有名なSalesforce 社のインサイドセールスを検証したいと思います。
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